【Beaconマニア - EP5】それってBeaconを使うべき?

こんにちは、秋山です。

 

過去の記事でも何度も書いてきたことですが、最近Beaconを使ったサービスがどんどん出てきています。僕の会社でもBeaconを使ったサービスを提供していますし、新サービスを考案する際にもBeaconを上手く活用できないかなと考えたりします。また、他の企業さまから引合や相談を頂く際にも、「Beaconを使ったソリューションを作りたい」「上層部からBeaconを使って何かやるように言われた」というお声を聞くことが増えてきました。

 

ここでふと思うのですが、サービスを考える際にBeaconありきになっていることが多いのではないかということです。僕自身そういったことがよくあります。

EP4のおさらいになりますが、Beacon自体の機能は下記の2つです。

 

スマートフォンがBeacon端末の領域内に入ったこと、出たことを検知する機能

Beacon端末の領域内にいるiOSバイスと、Beacon端末の間の距離を「遠い」「近い」「非常に近い」の3段階で検知できる機能

 

このように、非常にシンプルなことしかできないBeaconは、あくまでもサービスにおける手段に過ぎません。これがいつの間にか目的に置き換わっているというのは、サービス構築において本末転倒と言えるでしょう。 

 

Beaconを活用したサービスの代表格といえば、やはり広告やお知らせのPUSH配信だと思います。Beaconの電波を受信したらお知らせを配信する、つまり特定の位置に来た人に的確に情報を伝えるというサービスですが、位置情報に基づいたソリューションはBeaconでしかできないというものではありません。その一つの例がGPSです。GPSで座標を指定し、その中心から半径●メートル以内にいる人にお知らせをPUSHするというサービスは、以前から存在します。例えば、次のようなサービスを構築する機会があったとします。

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このサービスにおいて、Beaconを使う理由は全くありません。Beaconを使ってしまうと、端末が大量に必要でコストがかかってしまう、あるいは端末設置数が少なくてお知らせ配信が全然出来ないという事態に陥ってしまうことでしょう。また、屋外ということで防水性という面でもBeaconには不向きです。GPSで公園の座標を指定することが無難な選択です。

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逆のパターンとして、EP4の例で挙げた下のサービスを見てみましょう。

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これを強引にGPSで実現しようとしても、お菓子コーナーをピンポイントで指定するのは不可能に等しいです。ここまで極端な例ではなく、例えばコンビニに入店したらお知らせを配信するというようなサービスだったとしても、GPSはどうしても多少のズレが出てしまうので、小規模の店舗への入店したらという条件通りに上手く制御できず、コンビニ付近の道路上等でお知らせが配信されてしまうと思います。

 

以上のことをまとめると、BeaconとGPSの特徴は次のようになります。

 

Beacon:数十センチ〜数メートル単位で位置情報を特定できるので、店舗等の狭い場所でピンポイントに情報配信ができる。

GPS:広範囲に情報配信ができる。

 

これはどっちが優れているとかということではありません。BeaconとGPSのそれぞれの特徴を理解し、自分がやろうとしているサービスにはどちらが適切かを見極め、サービスの手段として選択していく必要があるということです。

 

今回はBeaconの相手としてGPSを比較対象にしましたが、世の中に沢山あるものの中から何を使うかということを適切に選択することが非常に重要です。もちろんそれ以上に、自分がどんなことを実現するためにそんなサービスを作るのかということが何よりも重要なのですが・・・。

今後皆さんにとっての選択肢を増やすために、そしてその中からBeaconを選んだ際に最大限活用できるようにするために、当ブログでは引き続きBeaconに関する記事を書いていきたいと思います。

 

それでは今回はここまでにします。ありがとうございました。